ブログDE読書日記

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「こころ」夏目漱石


こころ (新潮文庫)こころ (新潮文庫)
(2004/03)
夏目 漱石

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上司に薦められて読んでみた一冊です。

その上司とは2年前に私が移動してきた時に初めて一緒に仕事をすることになりました。

正直2年間、まともに話をすることはありませんでした。

その上司はこの4月1日に人事異動のため、他部署へ異動していきました。

その後の歓送迎会で初めてじっくりと話をしました。その方は50代独身の男性です。私の職場ではエリート街道だと思います。

その上司の印象は何を考えているかわからなくて、そしていきなりキレるので、恐ろしい人間だと思っていました。また、今もそう思っています。

しかし、その恐ろしさの中にも、何だか人間らしい一面があると感じていました。たぶん、思想家みたいなところがあるんだろうなと思っていました。

私の職場の酒飲みの席次は一定の人を除いてくじ引きで決めます。そして、この2年間100%の確率のその方の隣の席を引き当てていました。

面倒くさいから、隣は絶対に嫌だと思ってくじを引くのですが、いつもその人の隣の席を引き当てていました。

3時間くらいの酒飲みの場が数回あったと記憶していますが、全然内容の無い話ばかりをしていたと思います。

どう付き合ってよいのかわからないまま、2年間を過ごしました。

しかし、歓送迎会の場ではもうこの人ともお別れだと思うと、何だか思い切って自分のことを話してみたくなりました。たぶん相手もそう思っていたような気がします。

1次会では、何だか恥ずかしくて話すことができませんでしたが、そこそこお酒も入った2次会では隣に呼ばれたので思い切っていろいろ話をしてみました。

上司は読書が好きということで、これはと思い自分も読書が好きでいろんな本を読んでいると打ち明けました。でも、読んでいる本のジャンルは言いだせませんでした。

何だか私は娯楽のような本ばかり読んでいて、本を読んでいると言ってみたものの、読書に上も下も無いと思うのですが、恥ずかしくなってしまったのです。

読書に対する姿勢のようなものが私はすごく浅はかであって、読書などは暇つぶしであって、現実逃避の手段であったからです。こういう姿勢を上司に対してするのが、恥ずかしくてどんな本を読んでいるのか言うのがはばかれたのだと思います。

私の話しは置いておいて、上司はどんな本を読んでいるのか興味があったので、聞いてみました。そしたら「日本文学」だというのです。

日本文学といっても具体的に何を言うのか、私はさっぱりわかりませんでしたので、入門編は何かないかと尋ねたところ紹介されたのが夏目漱石の「こころ」でした。

夏目漱石という人が数年前の千円札に描かれていたことは知っていましたが、どんな話を書く人なのかは恥ずかしながら全く知りませんでした。

何だか難しそうだなと思いつつ、せっかく紹介された本だから読んでみようと、読みにくい文章を丹念に読んでみました。

この本から何を感じ取ることができるのか?わかりませんが、自分なりに考えたことを書いてみたいと思います。

先生と先生の友人Kは自殺してしまうのですが、なぜ二人は自殺してしまったのか?
私のイメージとして、哲学者は考えて考えて精神崩壊して自殺してしまうイメージがあります。

この二人は哲学者では無く、思想家だと思うのですが、やはり考えすぎた...いや、ちょっと違うような気がしてきました。

Kに関しては、精神と肉体との不一致に悩まされて自殺してしまったような気がします。元々宗教家の家に生まれた彼は精神は高潔なもの、肉体は低俗なものと考えていたのでしょうか。

人を好きになるということは自分の目指すものとは相容れないことであるのに、自分の気持ちを抑えきれないほど好きだという気持ちが募っていく。

そんな事を人に相談することは、もはや自分の目指しているものになれない行動であるのに、人に相談したところ、人を好きになるということはやはり自分の今までの人生を否定するものであると確信したのかもしれません。

だったら、もう生きている価値は無いと思い自ら命を絶ったのでしょうか。もっと前に死ぬべきだったとの遺言から、好きな気持ちに気付いた時点で死ぬべきだったと思っていたのかもしれません。

また、先生は親友を裏切って恋人を手に入れたことに罪の意識に悩まされ死んでしまうのですが、死ぬまでの葛藤がこれまた真面目すぎるのです。

これが明治時代の思想家の生き方なのかもしれません。

たった一つの後悔がずっとずっと先生を苦しめます。何かに没頭すれば忘れられるかもしれないと、研究をしてみますが、そんな気持ちで始めた研究など長続きはしなかったようです。

次に自暴自棄になって酒に溺れてみますが、しばらく溺れてみて嫌になって酒に溺れるのもやめてしまったようです。

妻の母が病気になり看病した時は、「やるべき事」ができて気が紛れたようです。その母が亡くなった後は妻に対して精一杯親切になったそうです。

そうすることによって、罪の意識から、そして過去から逃れようとしていたのだと思います。

でも、逃れることができなかった。そして、遂には過去と決別するには「死」しかないと思うようになるのです。


なぜ、明治時代に書かれた夏目漱石の「こころ」が100年以上たった今も読まれているのか?

自殺した二人の考え方なんて、今の時代に合ってないにも程があると思っていながら、どこか自分と似ているところがあると思えてなりません。

共感できる部分があるのです。

特に先生のやってきたことに私は恐ろしさを感じます。

私も何かから逃げるために読書をしたり、酒を飲んだりしています。

私の場合は罪悪感から来るものではありませんが、現実から逃避するために、それらのことをしている気がします。

今ある「ここ」を見ることなく、他のどこか、例えばこの本で言えば「過去」でしょうか、そこにこだわり過ぎると待っているのは「死」のような気がします。

先生は幸せになろうと思えばなれた、心の底からなることはできなかったかもしれませんが、妻のことを思えば幸せになることができたのではなかったか。

あまりにも自分に意識が行き過ぎていたのではないか。

現実を逃避するために読書をしているのが、現実を見せつけられたような気がします。

なぜ、書かれてから100年以上もたつ夏目漱石の「こころ」が読まれているのか、少しだけわかったような気がします。

10年後にもう一度読んでみたいです。

そして、この本を薦めてくれた上司に感謝したいです。恐らく、その上司に薦められなければ一生読むことは無かった一冊だと思います。

本を読むこと自体に大した意味など無いと思っていますし、この本を読んだからと言って、人生が豊かになるか、と問われればそうではないかもしれませんが、読めてよかったと思います。
自分の内面を垣間見たような気がしましたから。

もうちょっと日本文学を読んでみたくなりました。しかし、上司に一つ注意されたことがあって、日本文学の内、暗い話は若いうちに読まないと危険だと言われました。

確かに暗い話は引きずり込まれそうになります。戻ってこれなくなりそうです。若いうちはみなぎるパワーで戻ってこれそうですが、私はけっこうギリギリだと言われました。むしろ遅いかもということでした...

恐いモノ見たさでもう一冊くらい読んでみたいと思います。
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| まとめwoネタ速suru | 2012/05/01 21:05 |

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